今回はジーンズの着古した感を出す加工についてお伝えしたいと思います。
ジーンズは 藍色のインディゴという染料で染められたデニムで作られたパンツです。
そのままでは 製造工程で使用された糊がのこっているため 風合いは硬くゴワゴワしています。
また インディゴ染料は 色落ちがしやすいため色が他の衣料などに 色移りしやすいという特徴があります。さらに洗うと縮んでしまいます。
そのため 風合いを柔らかくし 縮みを最小限に抑えて インディゴが色移りがしないように 洗い加工が施されるようになりました。
洗い加工
ワンウォッシュ(水洗い)
水またはお湯で洗う加工のことです。
洗い加工の中で最初に行われました。
ワッシャーという機械に40~80℃程度のお湯をはり 5分~60分程度洗います。
洗うことにより 着用時の収縮を抑えることができますが 肌触りはゴワゴワ感が残ります。
インディゴ染料は あまり落ちないため 濃い仕上がりとなります。
バイオウォッシュ
バイオウォッシュは 酵素(Bio)を使用した洗いのことです。
ワッシャーに50℃のお湯をはり 酵素を投入して10~60分程度洗います。
加工後に失活(酵素の活動を止める処理)が必要です。
CMなどで 『酵素が汚れを分解』などと謳われていますが それと同じで酵素がインディゴの表面の繊維を分解します。
あたり感はあまり出ませんが 風合いは柔らかな仕上がりとなります。
ストーンウオッシュ
ストーンウオッシュは石と水(またはお湯)で洗う加工のことです。
ストーンウオッシュ用の機械に石と水、またはお湯を入れ15分から180分程度洗います。
仕上がりや生地にあわせて使用される石は 天然のものや人工のもの ゴム系のものなどを使い分けます。
ポケットや縫い目に石が入り込んでしまうため 一本一本、手でふるいます。
水分と石でジーンズは重くなり とても根気のいる作業です。
仕上がりは石で摩擦されるため 生地の表面がけずられて中古感のある柔らかな風合いとなります。
ストーンウオッシュに酵素(Bio)を入れて加工することを『バイオストーン』と言います。
ブリーチ
酸化剤で脱色し 中古感を出す洗い加工のことです。
ワッシャーに50℃程度のお湯と薬品をを入れ5~30分程度洗います。
ジーンズは 薄くなると 濃い色に戻すことができません。
そこで途中で何度か色を見て 狙った色に近づけていきます。
薬品の量と時間により異なりますが 中色から淡色の仕上がりとなります。
ケミカルウオッシュ
軽石に酸化剤を含ませ ワッシャーで洗う加工のことです。
軽石のあたった部分が脱色されるため ムラっぽい仕上がりになります。
また同じワッシャーであっても同じ仕上がりにはなりません。
トッピング(オーバーダイ)
ジーンズに中古風の色味を出すために 染色する洗いのことです。
ワッシャーに60~70℃程度のお湯と染料を入れて15分程度洗います。
使用する染料の種類によって温度や時間は変わります。
まとめ
今回は中古感を出す洗い加工について説明させていただきました。
聞いたことがあったものもあったかも知れません。
洗うと一口に言ってもいろんな方法があります。
他にソーピングと言ってジーンズに付着している薬品や不純物を洗い流したり 生地を柔らかくするため仕上げに柔軟剤を入れたりします。
洗い加工は 狙った色をだすために職人さんの経験と知識が重要になってきます。
思いどうりにいかない難しさ それもジーンズの魅力なのかも知れませんね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。